以前、親世帯と子どもの家族が住む形態を同居と呼び、主流とされていたことがありました。現代はそれに対し、「近居」というスタイルが流行しつつあります。この「近居」とは、親と子の世帯がそれぞれ別の住居に住んでいながらも、片道で約1時間程度の場所という近い距離で生活している状態です。これは、親の世帯・子の世帯それぞれに良い点があります。

まず、お互いの家のプライバシーを守ることが出来る点、そして生活リズムを合わせずにすむ点があげられるでしょう。近年、夫婦共働きの家庭は珍しくありません。そんなとき、近くの親の家で面倒を見てもらうことが「近居」なら可能です。反対に、高齢の親が体調を崩したときには、子どもの世帯がサポートをすることが出来ます。

「近居」を積極的に支援する自治体もあり、支援金を出す都市も近年は出現しました。女性の社会進出や時間にとらわれない労働、効率的な働き方を実現させるためには、親世代の支援が必要です。ですが、そのために高齢の親に負担を強いることは出来ません。同居の場合は一緒の住まいであるがゆえに、こうした意見の相違でトラブルが発生しやすい傾向がありました。

さらに光熱費や住宅の維持費の問題もあり、互いの存在を疎ましく思ってしまうケースも見られます。「近居」であれば、互いの生活に干渉せずにすむ部分があるので、安心してお互いとの良い距離を保つことが出来るのです。今後、親世代または子世代との生活を考えているのであれば、ある程度距離を持つことが必要かもしれません。